1980年に日本で発売され、初年度だけで400万個を売り上げるなど、たちまち大ブームを巻き起こしたルービックキューブ。この立方体のパズルの誕生は、1974年に遡ります。
生みの親は、ハンガリーの彫刻と建築学の教授であったエルノー・ルービック氏。当時の教え子に、3次元幾何学を説明するために考案した木製の立方体が原型になっています。
そしてルービック氏は、この立方体それぞれの面に違ったカラーリングを施し、回転する仕組みを設けたところ、一度色がバラバラになってしまうと、それを元に戻すことが困難になることを発見しました。当時は、その復元に1カ月以上の時間がかかったと言われています。それがきっかけとなり、このカラフルな立方体をパズルとして発売するというアイディアが生まれたのです。
1977年に「マジックキューブ」の名称で発売すると、ハンガリー国内で異例の大ヒット。1980年には世界展開をするにあたり、発明者の名前を冠して、名称を「ルービックキューブ」に変更します。そして、1982年までの2年間で1億個以上という、驚異的な売上を記録することになるのです。
その人気は衰えることなく、家のリビングや子ども部屋など、さまざまな場所に置かれ、今も世界中の人々に愛され続けています。
ルービックキューブは、パズルとしてさらなる難易度を目指す一方、様々なスタイルの楽しみ方をファンに提供しています。
最初に生まれたのが、各面9パーツからなる3×3×3のルービックキューブ。1982年には上位版の4×4×4、その後、さらに難易度が高い5×5×5のキューブが1991年に誕生しました。
その他、「気軽に、どこでも遊びたい!」という声に応えてキーホルダーになった、コンパクトな「ミニルービックキューブ」。大小、形も違ったキューブが組み合わさってできていて、回すたびに表情を変えていく「ルービック カラーブロックス」。ときには、人気キャラクターとコラボレーションしたルービックキューブも発表され、ファンを驚かせました。
これまでのファンにとっては、新しいチャレンジに。ルービックキューブに触れたことがない人には、新しい発見に。個性も難易度もさまざまなルービックキューブと出会うことで、世代を問わず新しいファンが増え続けています。
ただ“遊ぶ”だけではなく、“腕を競う”のもルービックキューブの魅力。日本をはじめ、各地で世界キューブ協会(WCA)認定の公式大会が開かれており、記録が認定されます。
さらに、世界大会も近年2年に1度開かれており、期間中は世界中のキュービストが開催地に集います。その出場人数は回を追うごとに増しており、2017年に開催されたフランス大会では60以上の国と地域から938名が参加しました。
公式大会は、両手で揃える部門はもちろん、「片手」「足」「目隠し」で揃える等ユニークな部門もあり、全18種目で行われています。(2018年3月時点)
中でもルービックキューブ6面すべて揃える速さを競う、3×3×3部門では、新しい世界記録が出るかどうか、常に注目の的になっています。現在の世界最速記録は5秒80(2018年3月末時点、アベレージタイム)。驚異的なスピードでキューブが揃っていく様子は圧巻の一言です。
日本国内での公式大会は、日本ルービックキューブ協会(http://jrca.cc/)が行っています。
「学生に3次元幾何学をわかりやすく説明したい」。そんな思いのもとに誕生したこの立方体のパズルは、おそらく生みの親であるエルノー・ルービック氏が想像していた以上に、多くの人々に広がっていきました。これほど多くの子どもや大人が垣根なく楽しめる知的パズルは、世界的にも類を見ないのではないでしょうか。
揃えた面を崩さずに、他の面も揃えていく。一見すると矛盾しているように思われることを実現させる奥深さは、きっと想像以上のはずです。
少しでもこのルービックキューブシリーズに魅力を感じたら、ぜひ手にとってみてください。そして、少しずつで構わないので自分なりの遊び方を見つけてください。スピードに磨きをかけるのもよし、神業に挑戦するのもよし、頭の体操に使うのもよし。楽しみ方は十人十色です。
もしかしたら、このルービックキューブとの出会いが、あなたの人生をより広がりのあるものにしてくれるかもしれません。そんな可能性が、この小さな立方体には秘められているのです。